ストーリー
開塾初年度に入塾してくれたある中学生の生徒のお話です。
その生徒は、言い方は悪いけれど「あまり出来のよくない生徒」でした。でも、逆に「よし!この生徒の点数を上げてみせよう!」と気合を入れて授業を進めていきました。ところが、いくら授業しても点数が伸びない。そんな状況にコチラが焦るばっかりで、生徒本人は全然気にしてない。気がつくと、講師の脳みそはグルグルと働いているのに、肝心の生徒の頭はほとんど動いていません。毎回毎回、宿題の量を調整し、授業中に勉強の大切さ・楽しさを伝え、生徒に合わせたオリジナルプリント(イラスト付)を作成したり・・・。そして最後は、今日授業で扱った問題と『ほとんど同じ問題』を宿題にして、「絶対に解けるから頑張っておいで!」と言い、その日は授業を終えました。
とにかく、最初は勘違いでもいいから「自分もやったらできるんだ!」という感覚を持って欲しかった。
そして迎えた次の週。今日こそやって来てるだろう。気持ちよく授業に入れるだろう。
「よし!よう頑張ったなぁ!やればできるやん!!」と、飛び切りホメてやろう!そう期待しながら、生徒が来るのを待ちました。そして授業開始。緊張しながらおそるおそる「宿題出して!」といつものように言ってみる。生徒が出してきたのは・・・
「ほぼ真っ白なプリント」と、「考えたけどわかりませんでした」というセリフ。
生徒の表情は、いつものようにのん気なまま。
その時は、なんとか平静を装いましたが、自分の血圧が急上昇するのを感じました。授業では相変わらず、先週教えた問題なのに解けない。授業の合間に「何か質問は?わからんトコない?」と聞くと「ない。大丈夫。」と頼もしい返事。。。それ以降もあの手この手でやってみましたが、コチラの試みは結局“空回り”に。生徒の意識も点数も全く変化ナシ。変えられたのは、「宿題忘れました」から「考えたけど、わかりませんでした」という言い訳くらい。
決して安くない月謝を頂いているのに、生徒本人に何にも働きかけることのできない無力感と、期待に応えられない申し訳なさ。「これからどうやっていこうか。。」
悩む中で1つ気づいたことは・・・「できない状況に、生徒本人は困っていない!」ということでした。テストで点が取れなくても、別に困っていない。「これは大事なポイント!」と言われたことは頭で分かっていても、テストまでまだ時間がある今は特に困ってはいない。勉強内容を教えるよりも、“意識”を変えないと何にも始まらない!!!でも、どうすれば・・・?
・・・考えたら単純でした。できなくても困ってないのならば、「“今”出来なければ困る状況」をつくればいい。そうすれば、「目の前の困る状況」を回避するために、生徒が自分の力で動き出すんじゃないか。こちらは最小限の手助けしかしない。生徒本人が、自分の努力で困難を乗り越えていくこと。これこそ、学習を通じて身に付けて欲しいモノ。今までは「北風と太陽」の北風のように、自分が直接働きかけて生徒をなんとかしてやろうと考えていましたが、でも、そうじゃなくて「生徒本人が目的を持って頑張っていく」ような環境をつくる。生徒にとって「行動する動機」がたくさんある環境をつくる。そうやって始まったのが、サバイバルテストです。(今のところ中学生・高校生)。
宿題はナシ。来週までのこちらからの課題はゼロ。その代わりに毎回のテストに合格すればOK。つまり、勉強の「プロセス」を見るのではなく、勉強の「結果」を見るとことにしました。テストは授業で扱った問題のみ。これなら「考えたけれど、分かりませんでした。」「範囲が分かりませんでした。」「そんなの知りませんでした」という言い訳も通用しません。キッチリ授業の復習をしているかどうか、身についているかどうかをテストで判断できます。いくら教わっても、それを「自分のモノ」にするかどうかは、自分で復習して反復して繰り返していく他ありません。
サバイバルテストの大まかな流れは・・・①授業→②サバイバルテスト→③再テスト→④課題という流れを毎週行います。例えば「正負の数の足し算」という単元1つでもこの流れで「定着」するまで1つの単元を、何度も何度も「分厚~~く」やり直してもらいます。
「覚える」「繰り返す」という学習の中で《一番重要》で、《一番苦しい》部分を、生徒に任せっきりにするのではなく、
「覚えないといけない環境」「越えないと生徒本人が困る“壁”」を用意して、自分の頭を使って壁を乗り越えてもらう。
実際にこのテストは、平均点以下の生徒達をどうにかしよう!意識を変えてもらおう!と思って始めたものですが、来てくれている生徒全員に試してみると、意外にも中位層(平均点付近)や上位層(平均点以上)の生徒でも合格できない生徒が最初は結構いました。その一番の理由は、「見直し不足」によるミス。
授業で何度も「必ず見直しすること!」と講師が言っても徹底できなかったのに、この「危機感のあるテスト」に変わった瞬間、不合格を避けるために“自ら”何度も見直しをするようになりました。
これはこちらも予想外の効果でした。少し先の受験を考えると、「緊張感のあるテスト」を経験しておくことは、大きなプラスだと思っています。
当塾には入塾テストはありません。それは、「今までのテストの点数」は、当塾にとって全くどうでもいいことだからです。「今まで」は問いません。「これから」頑張る人でいて下さい。大事なのは「過去の成績・実績」ではなく、「今」です!「過去の点数」よりも、サバイバルテストに合格するために毎回、授業の復習をキッチリして、毎回テストに満点合格する。それを「今」から継続して積み上げていくことの方が100000倍大事だと考えています。
サバイバルテストの点数が表すものは、「能力点」ではなく「努力点」です。
今来てくれている生徒達も最初はキツそうにしていましたが、今では「この厳しい環境」を「ふつう」と感じ、「学校のテストよりサバイバルテストの方が緊張する。学校のテストは余裕♪」と言うほどに。やっぱり「環境」に慣れるものなんですね。
毎月、テスト合格率を算出しています。合格率は、1回目のテストの合格率です。追試での合格は一切含めません。受験は本番1発勝負ですから、最初の1回目のテストで、「どれだけ自分のチカラを発揮できるか」、「どれだけ平静を保てるか」、「自分で自分のミスを発見できるか」、も含めて実力です。
また、合格率が低い生徒には面談もしています。テスト合格率は、生徒の能力ではなく生徒の努力・意識の現れです。どこに目標を設定するのか、今後の取り組み、などについて、話をします。生徒にとって、この面談は脅威だそうですが(笑)
ここは、ヤル気・意欲がある人にとっては、努力が毎回評価され、緊張感とともに達成感を味わいながらドンドン加速していける場所ですが、「ヤル気のない」・「嫌なことから逃げようとする」人にとっては、厳しい・キツイ所かもしれませんね。

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